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cafeロジウラのマタハリの日々

名古屋駅西にある隠れ家的な小さなカフェ、cafeロジウラのマタハリ春光乍洩です。2001年7月から営業しています。 http://cafematahari.com

今日の武田(入院2日目)

今日の14時過ぎ。武田の面会のために部屋に行くと。

武田はベッドに腰掛けて、A4用紙のプリントを熱心に眺めているところでした。

「あ。起きられるようになったね」と声をかけ、「何を読んでるの?」と聞くと、病院食のメニュー表だと答えました。

昨日は頭蓋骨に穴を開け、そこから脳に溜まった血腫を取り除くという手術をしました。その後は翌日まで開いた穴からチューブが出ていてそこから袋の中にまだ血が流れているようでした。鼻には酸素チューブ、両胸の所に心電図を測っているのかな、そして決して動いて手術後の頭に触ったり大きく動いたりしないように両手と胴体を拘束された状態でした。それが、もう腕の点滴だけになってて、しかもベッドの上に起き上がってる!

昨夜の私はなんの不安もなく結構よく眠れていい目覚めを迎えたのですが、「しかし携帯に『武田さんがお亡くなりになりました』とかメール入ってたらやだな」と思い、起きてメール確認しましたがそんなことも無く。それでもやはり昨夜はどうだったか心配になっていたのです。

昨夜は動けない状態でしたのでおしっこは尿瓶を使わねばなりませんでした。初めての経験なので尿意を感じるものの私がいた間の数時間、どうがんばってもおしっこは出ませんでした。あれからどうだった?と聞きながら私も座ってる武田のベッドに並んで腰掛けました。

「いろいろあったんだわ・・。いろいろ・・。話したら明日になるかも」

「明日になってもいいで話せばいいじゃん」

するといきなり武田は顔をくちゃくちゃにして、そらもう50過ぎの太ってロン毛でしかも頭を怪我してるとってもブッサイクな顔で泣き出しました。

「わ、わしが、こんな状態になって、それであんたもダメになったり倒れたりしたら、もうどうしようかと心配で・・!」

私もつられて一緒にブッサイクな顔で泣きながら、

「や、結構私は大丈夫なんだわ。全然落ち込んでないし動揺もしてないし、よく眠れたよ」

「あんたは・・・強いよね・・!でもね、わしは今朝、ミトンをした手で『宣誓!』ってやってたの。『宣誓!退院したら、もっとあんたのことを大事にします!』って」

「アホやで!それ、見られたらマジでアホやで!」

感情が一気に昂ぶった武田とそれにつられた私はずっと、1時間ぐらい武田の話にひーひー言って笑いながらボロボロ泣いてました。

「あんたが『チャラい』って言ってた担当のお医者さんは、どうなの?」と聞くと、

「何言ってるの!チャラくないよ!あの人がこれまでの先生の中で一番的確なことを言ってくれるスゴイ先生だったわ。脳神経外科界の北島康介だわ」

私は北島康介を知らんし、喩えてる意味がサッパリわからん。

さらに、そこは4人部屋で、既にそこにどんな名前のどんな人がいるのか音だけで大体わかっているようなのだけど、

「あのね。前のベッドには『谷垣さん』がいるんだわ。自民党総裁だった人」

とくっくくっく笑って小声で言う。笑ってるもんだからどこまでか本気なのか冗談なのかさっぱりわかりません。私も涙流しながら笑ってその話を聞いています。

「それ、違うと思うわ。谷垣さんが4人部屋に寝るとは思えんよ」

「でも確か自転車事故で入院したでしょう。どうやらそれがここだったらしい。ちょっとさ、名前見てきて」

「いいよ。

・・・・・・・・・・・・・・・谷垣さんじゃなくって、谷口さんだったよ」

「あれ?」

(あれ?じゃねーよ!!!)

 

感情が昂ぶって泣いたり笑ったりおかしいこと言ったりダジャレを連発した武田は、その後しばらく平静になり、昨日はどうだったか、どの看護士さんがどんな風かを話し、私も昨夜から今朝にかけての話や済んだ案件について説明したりしました。

明日には点滴の必要さえなくなり、もう武田の体はお風呂に入ったりはまだ出来ないし、残り数日入院しているままですが、ほぼ自由になります。今朝撮ったCTスキャンでも手術の結果は良好でなんの問題もないそうです。院内も走らない限り歩いてもよいそうです。2~3ヶ月続いてた頭痛も消え、病院食もおいしく食べ、いつも以上に饒舌になってますが元気にしております。

私も今日は疲れたので、武田が夕食を食べたのを確認して帰ってきました。今夜はゆっくりします~。