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cafeロジウラのマタハリの日々

名古屋駅西にある隠れ家的な小さなカフェ、cafeロジウラのマタハリ春光乍洩です。2001年7月から営業しています。 http://cafematahari.com

夏の始まりと終わりとセトウツミ

今日は7月28日で、夏はまだ始まったばかりだというのに、夏って短いから、始まりと同時に終りの予感がする。
もうすぐ8月で、その頃暑さの真っ盛りがやってくるのに、それを少し我慢したらこの厳しい夏も終わるんだって、いつも思う。
夏は始まったばかりなのに。

先日観た「セトウツミ」もそんな映画だった。
青春をただ川縁でだらだらと話す。ただ喋って暇を潰すだけの青春。そんな高2の瀬戸と内海。
最初のシーンで、「いつもの場所」に座ってポテトを食べながらどうでもいいことを喋っている瀬戸と内海。少し離れたところにずっと川を見つめているくたびれた中年男がいる。瀬戸(菅田 将暉)は内海(池松壮亮)に、どこか犯罪の匂いすら感じるその中年男の顔を見に行ってみろと言う。内海は、中年男から少し離れて、同じ川沿いのフェンスの前に佇み、ちらっと男の顔を覗き見る。アップになった中年男の横顔は無精ヒゲで、頬も顎の下も肉がたるんでいる。その次にカメラが捉える、高校生を演じている20代半ばの池松壮亮の顔の皮膚は、静かに張りを保っている。
それを見て頭がふっと映画から少し離れた。現実の池松くんも、あと20年、いや30年もしたら、この中年男のように顔の筋肉が弛むのかなあ・・・。時間は地続きなのだからいつかはそういう時が来るのだけれど、いつだってそれが信じられないような気持ちだなあ。そんなことをふと感じた。
そうしたら映画の中の菅田くん演じる瀬戸が、子供の頃の自分と今の自分が繋がっているのがどこかピンと来ない、という話を内海に訴えかける。なんか私はちょっとびっくりした。瀬戸は、子供の頃は楽しかった、夏休みもクリスマスもめっちゃ楽しかった、という話をしだして、
ほいでもうあの時の楽しさを一生越えることはないんちゃうかと思ったら、めっちゃ怖ない?老いて病んで小学生の頃の楽しさを越えられへんまま、死ぬのがめっちゃ怖い!」と言い出す。
まだ高校2年生なのに。
いや、私も高校生の頃は自分の未来に楽しいこととか幸せなことがあるとはとても思えなかった。子供の頃が一番幸せだとは思ってはいなかったけど、これからきっと楽しいことなどないまま死ぬのがめっちゃ怖い、と確かに思っていた。
高校生の頃って、夏が始まったばかりなのに、もう終わる予感をも感じてたまらなくなる、そんな季節だったのかな。
だらだらとお喋りを続ける瀬戸と内海の関係も、そこに永遠など無く、一瞬一瞬の連続でしかなく、ある瞬間にはそれが突然終りを告げるような、そんな予感に満ちている。
「セトウツミ」。2人の喋りはとっても面白くて映画観ながら声出して笑っちゃうんだけど、終りの予感を常に内包している夏の始まりのような映画だ。
是非この夏、観て欲しいな。


池松壮亮&菅田将暉!映画『セトウツミ』予告編